■イヤーモールドって何? ・・・ 装着がとても簡単に
他のページのいくつにも、正しい補聴器の装着をきちんと覚えて、できるように説明しています。なぜなら、完全な補聴器の装着は良い聴こえのためにはとても重要だからです。これは、より良い聴こえを求めて、補聴器の主流が耳穴式から耳掛式にとって代わったことによる問題のように思います。
兎に角、補聴器の装着はなかなか難しい・・。特に手首や指先の機能が衰えたご高齢の方には極めて難しいと言ってよいでしょう。余談ですが、そのことも有って、私どもは多くの皆さんは、補聴器を使い始めるタイミングが遅すぎると訴えています。耳鼻科医院では「あなたはまだ補聴器は早いと思う」とよく言われるようですが、それは主に平均聴力・・つまり、耳の感度から見た話でしょう。装着できることの重要さを考えれば、決してそうではありません。補聴器を使い慣れたり、補聴器を正しく装着することは歳を重ねるほど難しくなってゆきますし、加齢難聴は回復することは先ずありませんから、耳が気になり始めたら、補聴器の使用を考えましょう。少しでも若いうちに着け始めてマスターしたら、その後ずっと容易に装着可能です。
さて、本題に戻りましょう。
■イヤーモールドで解決!!
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では、補聴器を着けるのが遅れた方はどうするか・・ 良い方法があります。
イヤーモールドというお一人ごとの耳の穴形状に合わせて作る装着具があります。イヤーモールドは補聴器本体とは別に製作費用が掛かり、補聴器をお使いになる方の耳型を採取し、専門の工房に依頼して製作する特注品です。
上の写真はイヤーモールドを用いた補聴器の装着の様子と、補聴器に取り付ける前のイヤーモールドです。透明色が一般的ですが、ピンクやブルー、グリーンなどのきれいな色のものも可能です。過去にはイヤーモールドを使用すると、かなり音がこもる弱点が嫌われてきました。また、耳栓型の装着具の音漏れによるハウリング(ピーピー音)から逃げる手段の一つとされてきました。
しかし、現在ではプログラム生成の際にイヤーモールドの音響特性を補正して解決できる補聴器においては、この欠点をほとんど補正でき、ピッタリと耳穴にフィットでき、モールド部の先端の音口が耳穴のより奥の方で音を放出できるので、安定した音響効果を得やすく、そして、お一人ごとの耳穴形状に合わせて作られるので、イヤーモールドをご利用になれば、指先の動きが低下した方にも容易に上手に補聴器を装着していただけます。
装着状態も、耳穴式補聴器よりもモールド部が更にしっかり耳穴に入り、補聴器本体は耳介背後にほぼ密着するので、本体と耳穴の位置関係もしっかりして安定です。使用中に補聴器が耳から落ち難い長所もあります。
音響効果を重視して多種用意された中から選択できるドームのような装着具には適わなくても、結果的には、他の装着具での曖昧な装着に比べ格段に好ましい聴こえが得られます。
耳型の採取や工房の技術には優劣がありますので、中にはできの悪いイヤモールドで苦労される方もあるかもしれません。イヤーモールドの扱いに慣れた補聴器店を選ぶことをお勧めします。